MIND BBS 〜掲示板〜

私が愛読している雑誌より、

あゆ子。

13.09.18 09:44

婦人之友2009年8月号より。
羽仁もと子著作集みどりごの心より抜粋ー1931年

ー人の世の悲しみー

人の世には実に多くの悲しみがあります。そうした多くの悲しみのうちで、たった一つでも、それがただ一人にだけあることならば、その人はとうていその苦しみを堪え忍ぶことが出来ないでしょう。しかしいつの世にも、同じ悲しみを知る人が多いために、われわれは慰められています。
この世に悲しみが多いために、私たちはめいめいの持つ悲しみに堪えていかれます。この世の中の持つ沢山の悲しみを、皆が分けて担っている、その同情ーおもいやりーから来る貴い慰めなのだと思います。
しかしこの世の中に悲しみが多いのはよいことなのでしょうか。もちろんよいことではないばかりでなく、それがすなわち人の世の悲しみです。それだのに人びとは、ほとんどそのことを気にしていないのは事実のように思われます。人の世はこんなものだと、涙の谷の中に棲んでいる私たちがまた深い人の世の悲しみです。
この世の悲しみを取り除くことをどうしてもしなくてはならないと、本気に思い暮らしている人はどれだけあるでしょう。この世の中に食うことが出来ない人のあることを本気に問題にしている人はどれだけあるでしょう。
そればかりでなく私たちは、始終自分とその親しいものとだけは、その悲しみからのがれたいのがれたいと希い暮しています。それがまた悲しみに追いかけられながら逃げまわる憐れな光景を、描き出しています。
この世の中の悲しみは、すべての人の必ず進んで分担しなくてはならないけとです。我々はまず度胸を据えましょう。この人の世の底のないような悲しみを皆で深く見つめましょう。それは誰のものではなくて皆のものです。皆のものを自分だけ、自分の家だけでのがれようとするから、私たちの生活に自信がなくなるのです。
知恵のある人はその知恵のあらん限りを尽くして、力のある人は力をもって、富のある人はその富をもって、皆本気に世の悲しみの撲滅に当たって行かなくてはなりません。人各々のさまざまの天分によって、ある人はこの方面に、他の人はまた他の方面において、同じ目的の奮闘をすることになります。そこにさまざまの危険があっても、一歩もひかない熱があります。それが私たちを励ましてくれます。
人生の悲しみを共同の敵として戦う愛の戦いは、すべての人類のたましいの浄化のために発展のために、神を信じて熱心になさるる真実な生活の中にのみあることを記憶しなくてはなりません。


最新の発言に戻る

category

【ATTENTION】
当サイトでは、BBS内に書き込まれたURLのリンク先の情報、またその内容から発生するあらゆる問題についての責任は負いかねます。

BBSご利用上の注意