ここで書けばいい。
石井竜也
11.04.13 00:14
いま、本当にたくさんの方々の情報や、アイデア、事実関係やど、被災地からの本物の声など、まだまだ考えなくてはならない事が、沢山、書き込みがされております。特に、被災地の方々の意見は、非常に切迫した今現在の状況が見て取れます。少し想像をしてみてください。食料は、行き届かず、1日に冷たいおむすびたった一つ。顔も身体も洗う事も出来ない日々、それでも、まだまだ相当寒い地方です。暖をとる事もままならず、一日が「始まりと終わり」の繰り返し、プライバシーも、自由に怒りをぶつける事も出来ない状況で、気持ちには絶望感も生まれてくる。夜の長さは、おそらく、通常に生活している人間の5倍くらい永く感じる事でしょう。いろいろなもので仕切られた向こうでは、すすり泣く声が夜中じゅう聞こえ、数人の人間で老人の介護も行われている事でしょう。それも耐えきれなくなったときには、寒さをこらえて、ドラムカンを半分に切ったものにがれきであり、自分達の家の一部でもある廃材を燃やし暖をとる。日増しに口数が少なくなる数人の大人達。朝になって、まったく眠れないところにテレビのカメラクルーが入ってくる。急に向けられるカメラに焦って身づくろいする余裕もなくなった。ただただ、「支援に来てくれた」と思って、いろいろと情報を言ってみる。ぬかに釘さすような会話のあと、アナウンサーが「こんなにひどい状況です、以上、なんとか村の避難所の様子でした」と勝手に締めくくって、その場をそそくさと立ち去る。カメラがいない事を確かめて、着替えたり、物資の確保に歩いて行く姿。情報は、殆どない。ラジオも、つけっぱなしにしたら、電池が無くなる。だから、確実な時間のニュースを聞く。その時の避難所は静まり返っている事だろう。そして、余震、思わず、海を見てから、情報を集めようと、男達が走る。だがこれは、どの時間帯でも起こる。窮屈さに耐えかねて、半壊した自分の家に戻って行く人もいる。今となっては、「気をつけて」とも言われない。お互いにそういう気持ちがわかるから。夕方自分の家にたどり着き、急ごしらえにテントのような場所で眠れない夜を過ごした数人が帰ってくる。寒さで、顔色もない状態だ。やっと届く自衛隊の炊き出しに、力なく集まる人々。それでも、順番を守って、並んでいる。東北の寒さは、着ているものでは判断出来ない。沢山着ていても、的の外れた重ね着は尚寒いのだ。避難所には家族の遺体が出てこないいらだちと、出てしまった喪失感が同時に流れる事だろう。悲しい、寂しい、悔しい、は、空腹に負け、とにかく今日一日をどう乗り切るかに脳はつやされるはずだ。毛布にくるまり、ついたてに使っている段ボールの箱の角に顔を向けて、自分が一人である事を何度も心で唱える。目を上げるのが恐怖になる。広がるその光景が慣れるまでは、避難所にはいられない。また、慣れなければならない事に気がついていく。この状況で、「ガンバレ日本」とか言われても、ニュースの5分間だけ、現場を見ている者にはその苦悩の1万分の1も理解出来ないだろう。故郷を失った喪失感と、家族を失った絶望感を乗り越えるのはそんなに簡単な事じゃない。俺には、「それでも、前に進んで、歩いて行かねえと・・・」と言っているおじちゃんの言葉の本質が解るような気がする。そうでも言わなきゃ、自分を保てないんだ。自制心を必死で、働かせた最後の言葉として、言っている言葉だ。こういう状況でこれを言えるのは、・・・いや、カメラの前でこれを言わせるのは、残酷以外の何ものでもない。このサイトでよかったら、名前も何も書かなくていい、思いの丈を綴ってほしい。・・・だれも貴方を攻められない。人間だもの、、人間なんだもの。