MIND BBS 〜掲示板〜

あの地獄のような光景から4年・・・

石井竜也

15.03.12 05:40

極端に長く波を打つように突き上げてきた地震、それは今まで東京でも感じなかった不思議な、天変地異に感じました。ビルの上にいた方、地下にいた又、偶然海に出ていた方、僕は半地下にいました、コンクリートむき出しの作りの、モダンな建物でした。四方が、天井近くの明かり取りの細長い窓に囲まれた、落ち着いたミーティングルームでした。最初の余震がきて、いつもの「すぐ・・・終わるんじゃね?」という言葉を聞いた瞬間、コンクリートの壁が震えるように振動してきました。誰かが大声で、ドアを開けろ!!立っていられないほどの揺れを感じながら、みんなでなんとか出口は確保、上を見ると電信柱の先端や、街灯、電線、驚く事に細長いビルまで揺れていました。女性や、お年寄り、犬までしゃがみ込んでいるのを見て、外に出ても尚続く緩い揺れにガラスの多いビルから離れようとしていました。家族にと事務所に電話をかけても通じず。帰ると家の中は無惨にいろんな物が倒れ、意外な物が倒れていませんでした。まず細長い縦型のDVDラック。俺の部屋のオブジェ達。反対にがっちりと壁に固定されていたはずの巨大な棚がそのまま倒れていました。当然上に乗っている物も下に落ちてしまい凄い有様でした。自分の地獄はここからでした。テレビを付けると、東北の海沿いから関東に至るまでの広い範囲での大規模津波の情報を、声が割れるほどの脅威でヘリからの中継をニュースは臨時ニュースで報じていました。「・・・ああ、だめだ・・・」とっさに出たのは、この言葉でした。家族やスタッフの安否は確認出来たものの、母親が故郷にいる事を思い出し何度も何度も携帯電話をかけるのですが・・・繋がりません。部屋は、夕方には整理がついて、さほどもの凄い破壊はありませんでしたが気がかりなのは母親の事です。なんせ、当時は一人暮らしでしたから、北茨城市の情報がチラチラ出るのですが、一体どのくらいの規模の津波が押し寄せたのか見当もつきませんでした。夜にたまらず、そこいら中のタクシーを止めて「すんません、北茨城まで行ってもらえますか?」のくりかえし、答えは「常磐道もだめだし、下の道も千葉前で終わっちゃってますから・・・行けませんよ」悔しいやら、自分が、父親の死を看取れなかった事まで思い出し、こんな事で母親も俺は失うのか?と自問自答。道ばたで生まれて初めて恥ずかしながら泣きました。それから3日後に母親が僕の通っていた、中学校の避難所となっている体育館に避難されていた事をいとこの電話で知り、「今は、山道を2時間かけて、日立までつれてきたからね・・・」の一言に力が抜けました。丁度、親戚の『Aおばちゃん』の車に同乗中に前の車がバウンドしているのを見て、ドアをあけたら道にみんながしゃがみ込んでいて、国道は車で埋め尽くされていたとの事。丁度、目の前が避難場所の体育館だったのが不幸中の幸いで、2日間そこで寝泊まりしていたそうです。一日目は、そこいら中のカーテンをとって、毛布代わりに寝たそうです。でも、余震は30分ごとにあり、その度に外に逃げたそうです。外では、ドラム管に火を焚いた男の人たちが、怪訝そうな表情で港の話をしていたそうです。他の人は、何も言わないで、ただ火を見ていたのが印象的だったと、後に母親が話してくれました。今あの日の事を聞くと「もう忘れたいから・・」と言います。そのくらい恐怖と、無力を感じたんだろうと思うと、母親が恋しくて仕方なかった。その日から俺はせめて、自分が出来る事から始めようと思い立ち、被害が無かった関西方面でチャリティーを急遽企画し身一つで数カ所でコンサートを開き、皆様の暖かいご支援を賜り、またこのサイトも立ち上げました。しかし、出てくるニュースは、増え続ける未確認情報など、どの局の情報も混乱していた事を思い出します。それくらい現場では情報が錯綜していたのでしょうね・・・。3日後、母親の安否が確認出来ると、すぐさま、戦場カメラマンの広河 隆一氏の事務所に御邪魔して、お知恵を貸して頂く事にしました。その日は福島第2原発が水蒸気爆発した日でした。深刻な表情の広河氏に会い、これは尋常な事じゃない事を悟りました。それからの経緯は皆様の方が僕より良くご存知ではないか?と思います。


     改めて、この大災害で、
     御亡くなりになられた幾万の人びとの尊い命、
     その後の不便な生活を強いられた、
     東北の皆さん、必死に救難活動を
     行って下さった、自衛隊の方々や警察の方々に、
     心からの哀悼の意と、尊敬の言葉を
     贈りたいと思います。

      「僕は、本当に日本人で良かった、
       この国に生まれてよかったと、
       心から、誇りに思います」




           2015年3・11
                 
                     石井竜也


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