「re- create」とはなにか?
KABE
18.08.04 16:00
分子生物学者、フェルメール・センター銀座 総合監修 福岡伸一氏の感性
「re- create」とは、複製でもなく、模倣でもない。あるいは洗浄や修復でもない。
「re- create」とは、文字通り、再・創造である。作家の世界観・生命観を最新のデジタル画像技術によって翻訳した新たな創造物である。
現存するフェルメール作品はいずれも数百年にわたる経年劣化のため、今や失われてしまった細部がある。それはけっして元通りにはならない。しかしその細部にこそフェルメールの思想は宿っていた。フェルメールがほんとうに描き出したかったことがそこに表現されていた。
フェルメールは17世紀の同時代人、アントニ・ファン・レーウェンフック(顕微鏡学者)、バールーフ・デ・スピノザ(哲学者、レンズ職人)、ヘンリー・オンデンブルグ(科学者)たちとの直接的・間接的な交流の中で独自の世界観・生命観を熟成していた。それはひとことでいえば、「世界をこの目でとらえる」とは、光学的な過程であるとともに、心的な過程でもあるという科学的な認識だった。
