アムステルダムについて
koki
18.08.16 08:00
参照する絵画の作者 ルドルフ・バクハイセン
[1631-1708]
作品名 《アムステルダム港》
1666年
油彩、カンヴァス
128×221cm
本作品は、アムステルダム市がルイ14世の大臣ド・リオンヌ侯爵に贈呈するため、海景画家ルドルフ・バクハイセンに注文した作品であり、ルーブル美術館が所蔵するこの種の作品の中で最も美しいもののひとつである。この絵はその堂々たる大きさに加え、細心かつ入念な仕上げや、空間感覚や光に対する感覚によっても際立っている。明らかに、描かれた主題ーアムステルダム市とその軍事力および商業力ーへの讃美を呼び起こすように構想されたこのバクハイセンの絵は、ヨーロッパ諸都市の風景を集めたリオンヌ家の蒐集家に置かれることが意図されていた。
何より重要なのは主題の政治的解釈である。この作品は、オランダがヨーロッパの敵国や競合国に立ち向かう能力を知らしめているが、こうした状況では、フランス人たちへ向けられた警告となっている。事実、数年後、オランダがルイ14世に対してスウェーデンやイギリスと同盟を結んだ時(三国同盟)、フランス人はオランダ共和国に対峙することになるのである。
むろん、バクハイセンの絵に対するこうした見方は正当なものだが、一般的考察も排除できないだろう。
ここで描かれた大型船は、地中海航海および大陸周遊の航海に出航可能なものである。まさにこれによって、この1660年代の絵画は、ヨーロッパにおける遠洋航海と知識の進歩(海図、動植物研究、地中海経由によるレヴァント地方[トルコ、シリア、レバノンなど]への旅)との関係を想起させる。17世紀ヨーロッパの経済的中心地、アムステルダムが科学的進歩の媒介者として果たした役割は過少評価することができないだろう。