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役者の生き方について

はとぽっぽ

18.08.17 11:20

参照にする絵画の作者 フランス・ハルス
[1581/1585頃-1666]
作品名 《リュートを持つ道化師》
1624年頃
油彩、カンヴァス
70×62cm
署名あり


本作品は、この画家のものとしては数少ない空想的な人物像のひとつである《ジプシー女》とともに、ルーブルが所蔵するフランス・ハルスの絵画のひとつで、一見すると単純だが、その実、複雑なイメージである。実際、リュートを奏でる人物が繕う衣装は、「黄金の世紀」の現実にはそぐわない。それはルネサンスの時代を回顧するものであるのか。あるいは画家の想像の産物なのだろうか。ハルスの絵の中に役者が登場していることは知られている。ルーブルの絵は何らかの役を演じている役者を描いているのであろうか。その場合、このイメージは明らかに上流階級の顧客による注文という枠内で、社会の周縁の人物を示そうとするものかもしれない。仮にある劇場の一座が宮廷にとても贔屓にされていて、しかるべき手当が施されていたとしても、


役者は社会の中に位置付けられない存在であり続けた。


あるいは、本当の宮廷楽師かもしれない。彼らは王族たちによって画家以上に高く評価されていた。
絵画とは常に多義的なものであるとはいえ、カラヴァッジョが描いた若き音楽師の姿を着想源としつつ、さまざまな要素を集めているのは、《リュートを持つ道化師》の少なからぬ長所である。ハルスは明らかにユトレヒトのカラヴァジェスキを経由して、かのロンバルディア人カラヴァッジョがもたらした急激な変化と、彼が好んだ主題とを熟知しており、本作品はディルク・ファン・バビューレンに近い絵画となっている。そうだとすると、ハルスはオランダの共和主義的社会における貴族的欲望の活発さを示していることになる。その社会は実際、均質なものではない。デン・ハーグの宮廷とアムステルダムの証券取引所は同じものではない。

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