正当防衛と認められるとどうなるか?
岡本太郎
18.08.27 19:50
正当防衛と認められた場合、形式的には犯罪行為に該当しても、違法性が否定され、犯罪とならないとされています。そのため、相手が怪我をしたり死亡したりした場合でも刑事上の責任を問われることはありません。そのため、手続的にも、警察や検察の捜査の結果、正当防衛であることが明らかという事例であれば、不起訴として刑事裁判手続とならない可能性もあります。しかし、正当防衛となるかどうかの判断基準は明確ではなく、様々な客観的状況により評価が異なるものであり、「正当防衛であることが明らか」な事例など、ほとんどありません。したがって、通常、正当防衛を主張した場合であっても、事案が重大であれば逮捕、勾留は免れないでしょうし、不起訴とならず裁判手続に移行する可能性も十分あろうかと思われます。
この場合、裁判手続の中で正当防衛の主張を行い、無罪を求めて戦うことになりますが、立証のハードルは高いと言わざるを得ません。したがって、たとえ最終的に正当防衛が認められて無罪を勝ち取ったとしても、被る被害は甚大となることが多いといえます。
なお、正当防衛の要件を概ね満たすが、防衛行為が相当性を欠くとして過剰防衛となる場合には、違法性は否定されないため、有罪となります。もっとも、過剰防衛となる場合には、それが防衛のための行為であったということが情状において考慮され、求刑よりも相当程度刑が減刑される可能性は高いといえます。