作品と人
匿名希望
19.07.22 23:57
どうにもならない喪失感から、書き込ませていただきます。
京都アニメーションのスタジオ火災に関し、多くの貴重な表現者の方々の命が一瞬にして失われたこと、また今も多くの方々が傷を負い、苦しまれている状況に胸を痛めております。
元来静止している絵に命を吹き込み、目に見える形で存在していなかったものをそこに「在る」ように表現する上では演出、作画、配色、仕上げ、どの役職の方が欠けても完成させることができないものであり、京都アニメーションの作品をはじめ日本のアニメーションの多くには実在する風景(国内外問わず各名所、またアニメに登場することにより「聖地」と呼ばれ有名になった風景、音声等)が仔細に描かれることが特徴の一つとなっています。
それは、作り手の方が創作の中で実際に見た風景に対して抱いた思いや登場キャラクターたちの心情を表現し、作品の世界と視聴者の心をつなぎ、物語に親しみを沸かせる役割を果たしています。
不思議なことに、極めて個人的な嗜好から取り入れられたものが作品に触れた方々の心を揺さぶっている訳ですが、古来からこの国に存在する画や物語、詠まれる歌においても名所や何気ない風景が作品に織り込まれ、作り手の心と密接に絡んでいるものは多いように思います。たかがサブカルチャーとしてのアニメーションと古典作品を結びつけて考えるのは浅慮であるかもしれません。しかし今も昔も作り手が目を向けた景色やその人柄と表現技術が結びついてたゆまぬ進歩を続け、丁寧に描写されてきたからこそ年代や流行に関係なしに人の心を揺さぶるものが生まれるようになったのではないか、とも思われます。
まだまだ創り続けていたかったと思います。こんなところで苦しんで夢を奪われるなど思いもよらなかったでしょう。失われてしまった、その方にしか表現できない世界や創り続けていたかった思いを忘れないために、ファンとしてできることは何なのか、考えることから始めようと思います。この度亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々の回復を心よりお祈り申し上げます。