『ひとり』
石井竜也
12.02.08 03:40
確かに人間は時々、天涯孤独を感じる極面があります。それはどんなに優しい家族や友人に囲まれていようと起こる、心のいわば病気です。疲れ果て、思うようにいかず、中途半端に感じてしまう幸福感に嫌気がさし、人生をも苦しく、存在意義すら見失う事が、人間にはどうしても、起こるのです。それは、時期や時代、年齢や性別も関係ありません。もちろん、国も・・・。自分の中だけでの葛藤は非常に辛く、けたたましい程の緊急警報が鳴り響きます。そういうときに、どんなに周りをありがたく思おうとしても、「こんな自分じゃいけない」と幾多自分を戒めても、心に一度広がり始めた暗黒の闇は、どんどん容赦なく「日常」の自分を変えていきます。最初は、きっと、些細な事なのです。(もちろん、大きな人生の展開時期に起こる事が多いですが・・・)自分でも気がつかない何か、やりきれない気持ち。言葉で表現出来るなら、簡単なのですが、そういった心は言葉になりません。なぜなら、「心の闇」は、弱音を待っているからです。一度はいてしまった言葉からさらに濁った汚泥のようなドロドロした闇が身体を沈めていく。あがけばあがく程、足を取られる憂鬱な世界。・・・・こんな状態にもし貴女が陥った時には、きっと周りは、貴女を一生懸命、一人にしないように努力するでしょう。でも、これがまた、心に防波堤を築いていってしまう。弱くなってボロボロになった疲れ果てた心は、もう既に弾む心や楽しさを見つける余裕さえなくしているからです。「溺れたときには、水面にただ浮いていなさい、もがけば、身体は沈んでいくし、泳げば体力を消耗する。だから、できるだけ空を見ながら、大きく息を吸い込んで、流れに任せなさい。必ず、緩やかな流れに到達するときが来ます。そしたら、慌てず、自分の位置を確かめ、上陸できる岸辺を探しなさい。そして、無理にではなくゆっくりと、空を見ながら岸に近づいてみて下さい。・・・いつの間にか、ゆっくりと立てる所まで行けています。」その時の貴女には沢山の友情や家族、人間の本当の優しさが感じられる事でしょう。・・・そして、君は一人じゃない事に、「たった一人で気づくのですね」。私は、貴女がそういう過程を通って、「安心の岸辺」に向かってくれている事を、切に願っています。抱え込んだ憂鬱は簡単には自分を解き放してくれません。むしろ、その緊迫状態は、日ごとに手ひどい状況に貴女を引きずり込んでいきます。だけど、決して諦めちゃだめだ。「心」だって、栄養不足になったり、その人それぞれの限界がある事をお忘れなく。『ひとり』になる時間を日頃から持ちましょう。自分自身で焦って答えを求めるのもやめましょう。「絶望」に「援助の声は届きません」だから、日頃の自分に、こう言い聞かせてみて下さい。「とにかく、今は生きてみよう」とね。