「人って、いいなあ・・・」
石井竜也
12.02.17 12:57
うちの親父が死ぬまで言い続けていた言葉です。こんな言葉を言えるって、本当にいい人との恋愛や友情、出会いがあったんだろうな、と思う。おそらく天国でも、酒をチビチビやりながら、人の輪に入って、ニコニコ話を聞いてるんだろうな。まるで、本当に俺からしたら、心の日だまりでした。他の陰の部分は、薄ら寒いところばっかりなのに、ある草原には日だまりが当たっていて、そこに寝転がっていると、なんとも言えない安心感と、何か大きな物に包まれているような・・・あるいは、安心感のある愛情に守られているような感覚。父親というものはこうありたいと思う自分もいますが・・・。俺には無理だな。大体人間が出来ていねえし。破綻している俺のような性格の男は、こういう大きな視線を持って、子供や家族、友人や自分を見ることが出来ないんです。これはもう、病気です。生まれつきの精神病的な神経質・体質。何もかもがうまく行くためのあらゆることを(よく言えば努力、悪く言えば固執)準備してしまう。準備が早すぎて、自分で終わってしまうことまである。アイデアが、大きすぎて、関係各所から「石井さんが心配です」と言われてしまうことや、他人から見ると、相当一杯一杯に見えるのか?「大丈夫?」と現場の方から言われてしまうこともある。だけど、本人は至って平気でこなしているのです。もちろん体も心も疲れてしまうこともありますよ、俺だって人間だもん。だけど、普通の人より「痛いの我慢君」みたいで、意外にも我慢出来ちゃうんですよ。こうやって走り続けると、気の毒になって誰か必ず、何かやらせてくれるもんですね。俺の今までの人生の一番の言葉です「泣き言を言うならペンを握れ!」ウヤムヤな心や迷いが人を形のないウヤムヤな悩みの淵に落として行く訳だから、出来るだけ具現化すると、自分の悩みの「小ささ」とか、「くだらなさ」が見えてくる。俺の場合は紙と鉛筆で十分。そこに、次のコンサートのセットやら、映画を作る構想やらをまとめておくと、いつの間にか、悩みや苦しみは、あっちの方から引いて行ってくれる。人間、夢は恐ろしいほどの力をもっていますよ。いま、悩みの淵にいる方、悲しみの氷の上で寒さに震えているあなた、何もかも信じられなくなり、自暴自棄に陥っているあなた、絶望感と戦う気力もなくなって、疲れきっているあなた、世界で自分が一番愚か者だと自身を失ってしまっているあなた・・・そういうもの、こと、全てひっくるめて『人』なんだ!と思って、ヘタクソでもいいから、スケッチブックを持って、あなたの心の内にあるアイデアを描いてみて下さい。もちろん、何も描かなくたっていい。そこにはいつでも、自分の夢を描くことが出来る空間がある。他人が見たら小さなことでも、悩みの崖に挟まれて身動きが取れないあなたにとってみれば、大きな空間です。そんな小さなことでも、どんなにか自分を正しい方向に導くか。小さなことこそ大切なんだと教えてくれます。魂の解放は、小さなスケッチブックからでも出来るんですよ。「人って、いいなあ・・・」