大船渡より・・・。
石井竜也
12.02.19 02:04
今・・僕は、正直迷っています。俺なんかが来てもいいところだったのか?皆さんに失礼ではなかったか?なくなられた多くの魂に失礼ではなかったか?虚しさと寂しさに苛まれている心達に無礼ではなかったか?・・・と。でも、谷村さんのおかげで僕の心は、なんとかバランスを取り戻すことが出来ました。本当に偉大な先輩です。大船渡は、まだまだ、被災地の雰囲気をそのままリアルに僕に焼き付けました。ここで何が起こったのか?どんなに残酷なことが起きてしまったのか?その傷跡は生々しく街であったであろう場所の至る所にまだ、もうもうと立ちこめた噴煙のように吹雪の中で泣いているように思いました。今、僕は辛いです、切ないです。自分が弱い人間であることを、思い出しました。あまりにも風景が自分の故郷と重なり、子供達の顔が浮かんできてしまい、「浪漫飛行」が歌えなくなってしまったアクシデントもありました。なんとか間違ったように繕いましたが、こみ上げる涙には、かないませんでした。途中車を降りて、あのとき、屋上にSOSと書いて助けを求めていた大船渡病院の前で合掌してきました。液状化現象でぬかるむ不思議な感触の砂利道、港町特有の魚の匂い、街を覆う復興と絶望の狭間で揺れる気持ち。あらゆることが僕の脳裏に焼き付きました。ステージで言えなかったことを、ここに書かせて下さい「大船渡の皆さん、何にも出来ない僕を許して下さい、僕には歌うことしか出来ないんです・・・こんな僕で本当に申し訳ありませんでした」夜の吹雪は港を真横に吹き付け、沈んだ大地には、まるで海になったような不思議な風景が焼き付いていました。それでも、なんとか、たくましく生きようとする大船渡の皆さんの笑顔に、僕は感動して、涙がこぼれたんです。自然や海に文句は言えません。海は、私たちのような漁師町に生まれた人間にいろいろな素晴らしい恩恵も与えてくれていたんですから・・・。ただ、俺たちは、こんなに大切な海を汚染してしまった。そこに反省もない。そこに住む人々を無視してるとしか言いようのない対策の遅れ。恨みたくないがどうしても、許せない。僕は小さな人間なんでしょうか?