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歌が出来た訳。

石井竜也

12.05.05 19:29

昔、幕府の強制労働を強いられた金鉱掘り達が、あまりの厳しい労働条件に弱音を吐いた時、誰かが、歌い始めた。昔、今のイギリス(ブリテン島)に北方民族が押し寄せてきたときに、アイリッシュ達は、あまりの酷い扱いに、苦しみ抜いていた、その時、たき火越しに歌を歌い始めた。第2次世界大戦中、一体、どれだけの苦境に立った兵士達が、ジャングルの中で歌を口ずさんだのだろう。何もかにもなくされた強制収容所で、死を待つユダヤ人達は、一体どれくらい歌を歌って、その恐怖をしのいだのだろう。アメリカに強制的に奴隷として連れてこられた黒人達は、故郷のアフリカの大地に思いを馳せながら、悲しさと絶望から、少しでも心をなだめるために、その悲しさと苦しさをおしのけるように、歌にすべてを託した。ローマ帝国がヨーロッパを席巻していった時代、一体どれだけの捕われた人達が巨大な不安の中で歌で気を紛らわせていたのだろうか?『歌』とは、とんでもなく景気のいい、不安も何も全くない時代には、意外にも単なるゲームに過ぎないのかもしれない。人間は、極限という時代を何度も乗り越えてきた。なぜそんな極限時期を乗り越える事が出来たのだろう。俺は、『歌』が人々の心を一つにまとめていたのではないか?と思う。言葉も、権威も、知性も、全く役に立たない時がこの世界には巻き起こる事がある。そんな絶望的な時代、人々は、一体どうやってその厳しさから逃れていたのだろう?俺たちは、人間の事を数でしか考えていなくないか?あの国は何億人とか、あの国はアレが何千万個あるとか、GDPがこれくらいとか・・・とにかく数字でしかその文化の事を理解する事が出来なくなっていたのではないか?実は心の中の精神的な文化にこそ、その国の本当の気持ちが隠されている。そんな心の中を、言葉や、威厳や教養や強制で、納得させる事は出来ない。人は環境という気持ちや雰囲気で生きている。はっきりとした根拠等存在しない。・・・と、言うより、目には見えない物の方が膨大にあって、それは、偉大な演説や強要、虚飾や虚勢なんかでは、絶対に誤摩化されない『意思』があるんだ。その確固とした形はないが、如何ともしがたい程の強固な『意思』が『歌』になるのかもしれない。世界に歌が溢れているのは、人間という間違いだらけの動物が暴走したときに、その犠牲になる罪なき人々の間で、『悔しさ』『苦しさ』『悲しさ』『恨めしさ』『絶望感』・・・そんな『負のエネルギー』を必至で『正常なエネルギー』に変えるために『歌』を歌ってきたのかもしれない。自然の厳しさ、社会の厳しさ、世界の厳しさ、運命の厳しさ、暗黒の厳しさ、人間の厳しさ愚かさ・・・・そんな、『愚かなどん欲』が生んだ悲劇に身をよじらせながら、人々は、踊り狂い、声がかれるまで歌い、既に神さえも信じられなくなるような状況のときに、歌が、空にこだました。『歌』は、そうやって、人を助け、なにがしかの神と呼ばれる物とつないできたのかもしれない。『絆』という言葉は、人は何かで繋がっているという事だ。その何かの中に『歌』があるのだと思う。素直に「苦しい」を「苦しい」と歌う。「楽しい」を「楽しい」と歌う。「夢のような事」を「夢で終わらないように願いながら歌う」。『歌』はメロディーとリズムとリリックが一緒に耳に届く空気の振動だ。人生の鼓動が音楽なんだ。不安と、残虐が横行する時代には、『歌』が本当に大切な人々の心のよりどころとなる。歌うー聞くー感動するー笑ったり泣いたりー自分になるー本来に戻るー心が晴れるー社会の片隅から世界は明るい方向に向かっていく。『歌』は、誰の物でもない。貴女自身の生きている証しなんだ。

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