イエロー・ケーキの実態。
石井竜也
12.11.02 17:59
イエロー・ケーキとは、第一段階の精錬を施したウランの事をいう。世界的にウランの採掘をさせられていたといわれている国でも、採掘されていた時代がある事は、あまり知られていない。つまり、意外にも、世界中で、ウランの採掘は広範囲行われている実態があるという事だ。当然、高い放射能と、ウランによる被曝はその現場では避けられない。爆発した原子炉の何倍もの放射線量の中での過酷な仕事は、労働者には殆ど、それがどんなに危険な事かは知らされていないのが現実だ。こうして、相当数の人間の命と引き換えに、ウランは、掘り出されている。しかも、そこからプルトニュームに生成されれば、ウラン原料の数万、数十万倍もの破壊的な毒性になると言われている。つまり、原子力に頼るという事は、その周辺、強いては地球規模での被曝を促す危険にさらされるという事だ。ちなみに、今の福島は、このウラン採掘場より、高い値の放射線量の中で、人々は生かされているとも言われている。元来、古代人のある宗教でも、近づいてはたたりがある場所として、採掘場には、絶対に子供を近づけなかったという言い伝えが世界中にある。よく言う、「汚れた土地」とか「悪魔の場所」など、言い方は違えど、この強い放射線に古代人もとっくに、気がついていたのだ。そう考えると、完全に現代人は、パンドラの箱を、入っている物を知りながら開けるという無謀で愚かな行為に出た訳だ。開けたパンドラの箱は、二度と閉める事が出来なくなった。生成技術の向上により、より放射能濃度の濃い物が、使われるようになり、MOX燃料に至っては、今の科学では、押さえる事の出来ない破壊的なエネルギーが出来上がってしまった。それを、事もあろうにプルサーマル計画は、エコと言い放って、「もんじゅ」に代表される、プルトニュームのリサイクル計画という、今度はサタンのドアを開ける計画まで考え始めた。どこまで愚かな行為を続ければ人間は、考えるのだろうか?小さな細長くほとんどが山で、川の流れも厳しい起伏にとんだ土地、海に面し、しかも大陸プレートの不安定きわまりない複雑に入り組むこの土地は、地震と、台風、河川の氾濫等の大きな悲劇に見舞われる事が多い。国のほぼ全域に広がる地底の状況には、目を疑うように多くの活断層が張り巡らされており、その数は、今の地質学で発見されている300倍の数があると言われている。大地震と津波は比較的小さなものまで入れれば、100年おきか、20年おきに起こっている、いわば、自然災害国である。そんな、脆弱な土地に、このウランをふんだんに使った原子炉が54基。これはどう見ても正気の沙汰じゃない。青森県六ヶ所村には、既に、核廃棄物が99%以上満杯状態で保管されてはいるが、だからといって安全では決してない。この施設が一旦、爆発でもすれば、北半球は甚大な被害が及ぶほどの量のプルトニュームが六ヶ所村の貯蔵庫には眠っている。しかも、一本ずつの距離は1センチもない。それが何万本と、今も増え続けてている現実。どこにも使い道のないこの核廃棄物を、武器に転用するのは、いとも簡単であるばかりか、殺傷能力は、その国の子々孫々まで影響を及ぼす程の破壊力だ。実は、この武器の名を、『劣化ウラン弾』という。こんな物騒なものを、日本が作る訳がない!と、つい最近まで俺は固く思っていた。どう考えても、原爆の恐怖を二度も味わった国がする事ではないし、反対に、そう言う武器は、反対の立場である事と信じきっていた。だが現実は、目も当てられない状況だった。実はイラク戦争の始まりとともに、劣化ウラン弾の製造が日本でも行われ続けている事は、意外にも知られていない。イラクで使われた実に30%が日本製の劣化ウラン弾である事を、日本人は知らない。今、6〜7年前に使われた劣化ウラン弾の影響で、イラン全土で、奇形児が頻繁に生まれ始めているという。酷い村になると、村人の80%が被曝が原因とおぼしき症状で亡くなってしまった所まであるのだそうだ。日本政府は、たいそう凄い事を、アメリカの言いなりになってやっているのか?それとも経済大国のお決まりの「死の商人」を買って出ているのか?情けない状況だという事を、よく考えてみてほしい。「プルトニュームなんか、飲んでも何でもない、むしろ健康にいい」などと、豪語していた某大の自称原子力推進派の教授達は、何を思い、このような愚かきわまりない暴言を吐いているのだろう。未だに道筋の決まらない政治に、国民の恐怖の限界が近づいている事だけは確かだ。