海の子。
石井竜也
12.11.30 14:43
俺もそうだけど、今回の東日本大震災での被災者の殆どが、「海っ子」達なんです。つまり、海のそばで育ち、海の怖さも、楽しさも十分に解っている子供達や大人達。この海をとられた悲しみは、計り知れません。特に、放射能の影響で、漁に出られない漁師の心は、張り裂けそうに、辛いと思います。急に海を「見えない呪縛」で、もぎ取られるという事は、自分のカンバスをなくした絵描きのような物。絵の具も、イーゼルも、イメージも、もちろん情熱も色濃くあるのに、肝心のカンバスがない。どんなに描きたくても、それを描く物がなければ、描けない人生。想像して下さい、この悔しさ。破壊されただけなら直せもするでしょう。でも、今後20万年、海にさえ触れられない気持ちは、絶望を通り越している。それでも、被曝覚悟で漁に出る漁師達は、比較的安全な魚を目指し、少しづつ厳選に厳選を重ねて、出荷するそうです。でも、一旦、茨城産、それもいわきや北茨城と解ると、その名前だけで、手も触れられない。長距離トラックの運転手さんは、「このまま、持って帰ったら、うちの田舎の漁師さん達が、あまりにもかわいそうだから、どうか、処分してくれ・・・」と言い残し、去って行くそうです。そして「タダ」と解ると、その瞬間、魚はなくなって行くそうです。誰ともなく持って行ってしまうとか・・・。もちろん、持って行く魚に放射能なんか含まれていません。おそらく店頭に並ぶ時には、九州産と同じ棚に並べられるのでしょう。並べた店主もその事に気がつかない方法での、営利企業の業ですね。でも、彼らさえ糾弾する事は出来ません。言うなれば、日本中の魚が危ないと言っても過言ではないのですから。それより、何の手も講じない、東京電力と政府の行政能力に、この国は、終わらされようとしているのです。デフレも解消しないまま、増税する事がどんなにハイリスクな事か、考えてみて下さい。シケで荒れてくると解っている海に、漁に出る漁師はいません。日本の中心を選ぶなら、何でもかんでも腐った正義感で、物事を運ぶタイプじゃなく、「解らない事を解らない」と認め、いろいろな角度で考え方をまとめられる人がいい。そういう人は、必ず、グローバルな物事の考え方にも長けていると思うからです。現場に意味もなく乗り込んで行って、英雄気取りで無知をひけらかすタイプの総理大臣候補なんかに、絶対に投票しないこと。原発が急には絶対になくならない事を、肝に銘じるべきです。今ストップする事は、また国民の負担が増える事もお忘れなく。現実的に見て、ゼロにするには、何十年もかかる作業だという事を、考えて下さい。原発ゼロを声高に言っている政治家に本気はいません。