ただ見守る。
石井竜也
12.12.21 03:00
情勢や、自分の行き場が解らないとき、人は、慌てふためいて、疲れきります。そういう時代を乗り越えたのが、あなたのお母様やお父様の時代です。第二次世界大戦でなくなられた人数は、約320万人以上。そんなすさまじい時期を乗り越える事がどれほどの苦労と、逆境だったか、今の僕たちには想像すら出来ません。ただ、想像ができないから、しょうがない・・・というのは、それもまた随分とドライですよね。母親曰く、「自分で考えても、解らない時は、まず流れに身を任せてみなさい」でした。溺れている時というのは、もがくものです。考えてみれば、人間は空気を吸い込んでいれば、浮きます。それが焦ると、いたずらに体を動かし、もがく事で、体力も、体温も消失して行く訳です。状況は、違えど、穏やかな水に浸っている時には、人間はそんなに水に恐怖を感じません。ところが、多少でも波が立っていたり、曇り空だったりすると、気持ちが不安にかられ、どこにいるのかさえも忘れてしまうほどの恐怖に駆られます。そんな時に、人は溺れてしまうのです。だから、一度、冷静になって、流れに身を任せてみるのも、確かに、一つの方法だな?と俺は思うのです。こういう時代の端境期に、いたずらに体中の力を使い果たすのは、危険な事です。「そっと、時代を見つめる事」確かに、これは今私たち、大人に課せられた態度かも知れません。いろいろな思惑で窒息しそうな時代に、急激に深呼吸しようとしても悪い空気を吸い込むだけ。だったら、ゆっくりと、心を落ち着かせ、まずは自分の位置と心を見つめるべきです。人間には、限られた時間しか許されてはいないのですから、眠る時間と同じくらいの時間を『心配』しながら過ごすなんて、出来っこない。だったら、大局の大きな目線を持ち、落ち着いて行動すべきでしょうね。流れに身を任せるというのは、何も、ただただ大きな力の言うなりになるという事ではないのです。その流れを掴むためにも、一度浮かび上がりながら、時代の流れに浮いてみるのです。・・・決して、沈まないように。