14.05.05 23:40

「あきらめる」という意味か？地震大国とまで言われ、『TSUNAMI』は、世界の共通語、火山の噴火も、半端な数じゃない。この国自体が火山の噴火とプレートの隆起で出来ていて、しかもそのプレートが、幾重にも複雑に引いたり押したりしている、国土と海域を持つ日本。確かに、「武士道」や「威勢が良いね」などいろいろと、「瞬時に、あるいは、俊敏に、覚悟する言葉」が、他の国とはどこか違っているように思う。これら全部が地震国だから火山国だからと言うつもりもないが、明らかに、「だめなときはだめと、覚悟せよ！」と先人達が残していった精神性なのかもしれない。
何度も危険性を指摘されてきたなかでの今回の地震。机から中腰で立ち上がる自分の姿、（自分的）重要文化財が次々に棚から落ちる。特にコンピューターの下に置いてあった阿修羅の像のミニュチュアがアンモナイトの化石に直撃された様を見たときは、思わず「歴史は繰り返すのか・・・」と、地震のさなか、すぐに掴めるように置いてある懐中電灯を一瞬で手に取った。しかも地震は、薄ら笑いでゆらゆらとまだ続いていた。俺は、懐中電灯のスイッチを入れた・・・・つかない・・・電池が切れていたのだ。もし、この地震が予兆であるなら、この直後に関東地方のわずか１０キロ下で活断層がずれるとしたら、M9は免れない。俺は、高い場所にある重い物を降ろすべきか、早く外に飛び出すべきかを悩んだ。こういう時には、時間もなんだかスローに感じるものだ。常日頃から、専門家ともお付き合いさせてもらっているため、知識だけは満杯のはずの頭が回らない。次の行動が瞬時に起こらないのだ。ひとまず、全てが終わった事を感じると、家の中の重要文化財（自分的）を見て回ったが、別段、何の変化もない。スカイがひょこっと現れて、俺にすり寄ってきた。あ・・・スカイとは、家の熊のようにでかくなったネコの名前だ。あいつは、ゆったりと俺の前で、「なに、焦ってんの？」という顔をして寝転んだ。俺は、必死で毛繕いの手伝いをしながら、次に何が起こるかを心配し、毛繕いに励んでいた。俺には、この国を守る責任があるので、毛繕いは無駄な時間だと思いながらも、気持ち良さそうなデブネコ「スカイ」の長い毛を、ブラシまで取ってきて手伝った。その後、お袋に電話したら、・・・出ない。まさか！！一瞬思ったが、お袋は寝たら死んでも起きない性分で、親父より根性が据わっていたのを思い出し、明日にでも掛けてみようとケイタイを切った。次に電気・水道・ガス、トイレの流れを調べていると、ドアをノックする音。ついに建物が崩壊したのか！！と重いきや、管理会社の方が心配して来てくれたのだ。「酷い汗ですね」と、言わなくても良い事を言い残し敬礼されたので、こっちも敬礼で返した。自分でも「潔し」のポーズであったと思う。ゆっくりと次のアルバムの歌詞に戻ろうと、部屋に戻ったその時だった。俺の部屋のドアの前に、何かが横たわっている。うわ〜〜〜〜！！奇声と悲鳴の中、横たわっていた物があわてて飛び起きた・・・さっきの続きをおねだりする『スカイ』だった。俺が「悪かった、驚かすつもりは・・・」と全部言う前に、スカイはゆっくりと俺を「この根性なし！」と、なじるような目で見ながら自分の寝場所へ帰って行った。俺もゆっくりと、昨日買ったばかりのワインをグラスについで、恐怖を誤摩化そうとほろ酔いになりつつ、次にくるであろう『本震　M9』クラスの地震に備えるには、こんなもの飲んでていいものやら迷いながらも、結構な量を飲んで、頭が痛い。誰がなんと言っても、俺はあの時『潔し』だった。